高齢化が進むにつれ、年金や介護といった問題が以前に増して叫ばれています。
そして現在、単に長生きするだけでなく年をとっても寝たきりにならず、
元気に普通の生活が送ることができるようQOLの向上に注目が集まっています。
「美脚による健康」と題して脚からの怪我・老化・病気の予防について、
既に一般に知られている事柄や知られていない事
間違った常識などを紹介していきます。第1回は靴についてです。
◆靴はなぜ必要か?
人間の足の裏にはいわゆるクッションが入っており、関節構造もアーチ構造
である事や歩行時の足、膝、股関節、更には背骨において緩衝作用を行っています。
おそらく、土や草の上で生活していくには十分な機能でしょう。
しかし幼少のころから殆どが舗装されている場所で暮らす都会の人では
クッションは薄くなり、地面が固いことで人体の持つ緩衝能力だけでは
足りなくなってしまいます。代償として足から膝、股関節、背骨
更には、顎のバランスまで変えてしまうこともあります。
◆靴による足のトラブル
知られているもので代表的なものとして
ウオノメやタコ、靴ずれ、外反母趾、偏平足などが挙げられます。
ただ、そのどれもがすべて靴のせいであるわけでもなく、
靴ずれは靴を履かなければ起こりませんが、
靴を履かない地域の人たちでも外反母趾や偏平足は見られます。
足から上の変化によって起こるトラブルに靴も原因に関係する場合も
あると考えるのが自然です。タコやウオノメもストレス(負荷)が過剰に
かかるからこそ硬くなるのであって、角質を削るだけの一時的なケアでなく
靴からのストレス、そして最も大きい足から上のストレス(身体、脚のバランス)を変えていくことこそが根治に繋がります。
◆ストレスの少ない靴選び
ます靴をえらぶ時にほとんどの方はデザインから入ると思います。
殆どの女性が履くと思われるヒール靴についてです。
一般にヒールの高い靴を履くことは良くないと言われていますが、
かかとを高い位置にすることで下肢症状の最も主要な原因の一つである
回内足(距骨下関節の外反・背屈・外転変位)
の姿位を解消する状態にできます。ただ、すねから上が前方に滑りやすく不安定に
なる為しっかりと足を固定する必要があり、ヒールが高すぎるものもNGです。
できれば以下の条件にあったものがよいでしょう。
●足の甲の固定があるもの
ストラップ程度のものでも無いよりマシです。
ただし、指の付け根あたりの固定が強すぎると
歩行時の足指の動きを制限してしまい足底部の機能がうまく働かなくなり
かえって足のアーチの低下を招いてしまいます。
●かかと部分の固定(カウンター)
しっかりしていて、長いもの。当然ですができるだけ長いものの方が固定できます。
●足底重心部のライン
ヒールは足裏の面が斜めになる為、当然前方へ滑っていきます。
ただ、靴底がかかとからつま先にかけて斜めになっているよりも、
重心がかかる辺りがカーブになっている方が重心を後ろにキープしやすくなります。
●サイズ
もし、サイズ(長手方向)とウィズ(幅)が合わない場合
(サイズはちょうどいいが幅が狭い等)はサイズに合わせたものを選びましょう。
例えば、外反母趾の原因としてまず挙げられるのが
開張足(足の横のアーチが少して横に広がってしまう)です。
広がっているのに横に余裕があったり、爪先が曲がっているのに先が詰まっている
靴を履いたら、決してプラスにはならないでしょう。
●曲がり方
もうひとつ、靴には足底にシャンクと呼ばれる重心の掛かり方を調整して
足の裏のアーチを助ける硬い芯が入っていますがこれが弱かったり、
位置が悪いものでは、歩行時に足裏に間違った圧が掛かってしまい、
アーチ減少の原因になります。
可能であれば靴のかかととつま先をもって折り曲げてみて下さい。
MP関節(親指でいうと付け根の出っ張っているあたりから土ふまずにかけて)
で曲がるのが理想です。
またハイヒールで、通常のかかとで着地して、つま先で蹴り出す歩き方をすると、
かかとを気にしてか膝を大きく曲げてしまう歩き方になりがちです。
これだと上体のバランスまで崩してしまうのでいかに正しい歩き方でも
ハイヒールには向きません。
ヒールを履くときは歩幅を狭めに取りゆっくりと
かかととつま先を同時に地面に着けるような歩き方が向いているといえます。
歩き方としてヒールは足の筋力バランス低下に繋がりやすいので
通常の歩き方をできる靴も履くようにしましょう。
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