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コラム【美脚による健康】 第6回 骨盤矯正の是非

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09Apr

●骨盤とは

骨盤

成人の骨盤は大きく分けて4つのパーツからできています。
背骨とつながっている、真ん中の「仙骨」
その下に付いている「尾骨」(尻尾が退化したものと言われています)
そして仙骨の両脇についていて脚がついている部分の「寛骨」(かんこつ)
これらの骨が筋肉や靭帯によって、背骨や腕などの関節と比べると
よりがっちりとした状態でくっついています。
出産時にはホルモンの影響でこれらが緩くなることで産道を広げます。
これらの骨の合わさっている状態、脚の骨や背骨に対しての骨盤の状態が
正常でないものが「骨盤のバランスが良くない状態」といえるでしょう。

●骨盤の役割
骨盤の中には生殖や排泄などの働きをする内臓がつまっています。
これらを保護するのが骨盤のメインの役割です。
よく骨盤のバランスが悪いと,これらの内臓が下がってきて下半身太りに
なってしまうといわれていますが、骨盤の多少の変化が直接的に
そこまでの影響を与えることは少ないと思います。
ただ、骨盤に関連のある筋肉などによってお腹の中の圧力が弱くなっている場合
内臓の収まりに変化がでますし、腸管への刺激が弱まるので
便秘になりやすくなります。
骨盤のせいで、というより骨盤周りの筋肉などの変化によって
骨盤も内臓も影響を受けてしまっていると考えた方がいいでしょう。

そして…「骨盤は身体の土台」と、よくいわれます。
確かに人間の身体を見ると骨盤があって、その上に背骨があって
さらにその上に頭がのっている格好になっています。
骨盤が傾くと頭を平行に保たなければいけないため
間の背骨のバランスを変えることで調整しています.
これによって肩こりや腰痛が起こることも頻繁に見られます。
重力下で生活しているので、2足歩行の人間の骨盤は脚の影響を大変受けやすく
なっています。骨盤の状態だけ改善しても脚のバランスが悪ければ
全く意味がないでしょう。骨盤を身体の土台と言うならば
基礎にあたる脚ももっと重要視しなければいけないでしょう。

●脚の長さの違い
これも整体やマッサージに行くと、よく言われることですが
「脚の長さが左右違う」
「骨盤の高さが左右違う」
「骨盤のバランスが悪いせい」
実際気にされている方も多いはずです。
これも骨盤から脚が生えていると考えれば、納得がいきますが
他にもたくさんの要因が考えられるはずです。
まず、身体の重さが脚にかかる「床に立った状態」と
身体の重さが脚に掛かっていない「寝た状態」では当然、脚に変化がありますし
寝かたや、重心の掛け方によって左右差がでることもあります。
脚の長さと骨盤バランスを説明されるときに良く言われる
仙腸関節(骨盤の仙骨と左右の寛骨をつないでいる関節)のバランスによるものも
ありますが、それ以外にも関係がありそうな関節はたくさんあります。
大きいところだけでも股関節、膝関節、足関節などなど…
また、成長過程やケガなどで骨の長さ自体に左右差でてしまうこともあります。
なので…
「骨盤バランスが悪い→脚の長さが違う」
というのは一度完全に忘れたほうがいいと思います。もちろん…
「脚の長さが違う→骨盤バランスが悪い」
という逆のケースはたくさんあるでしょう。

●骨盤と股関節
骨盤バランスに変化を与える特に大きな要因が脚との結合部分である股関節です。
骨盤側の受け皿に脚側の球がはまる形になっており、骨盤に対して脚を…
・前と後への動き
・外側、内側への動き
・内へひねる、外へひねる動き
という3軸(面)6方向への動きを複合して行うことで色々な方向へ動かせる
自由度の高い関節になっています。

★前と後ろへの動き

 

 

 

 

 

 

人体では前後の動き(矢状面上の動き)が一番重要視されていて
理学療法などリハビリ等でもまずこの動きの改善を第一としています。
まず脚の前後への動きをあまり行わなかったり、前後の運動に偏りがあると
動かせる範囲が変わってきます。硬くなっている状態です。
その状態が慢性的になり、長く続いてしまうとそのまま固まってしまいます。
結果、脚に乗っかっている骨盤の位置が正常とは違う状態になってしまい
骨盤のバランスが崩れてしまいます。

股関節の前後の動きは、特に骨盤の前後の傾きに影響するため
その上の背骨にも大きく関係してきます。
人間の背骨には3箇所の前後方向への大きなカーブがありますが
これは重力に対して自分の重さを逃がして脚への負担を軽くしたり
頭への衝撃を減らす役割があります。
この前後カーブが骨盤の前後の傾きによって影響をうけやすいのです。
骨盤が前後に傾くことにより、背骨のカーブもそれに合わせて変化します。
カーブが変化することで姿勢が悪くなったり、クッションの機能が低下することで
背骨の周りの筋肉などへの負担が大きくなり肩こりや腰痛が起こってしまいます。
特に腰への影響は大きく、腰痛の方で股関節に問題が無い方はまれだといえます。

★内と外への動き


次に外・内への動きと、内側・外側へひねる動きですが
これは特に左右の寛骨の状態に影響してきます。
脚の内側への動き、内側にひねる動きが強く、この状態で固まってしまうと
寛骨の下側が外側にいき、開いた状態になってしまいます。
女性に多くみられる
「以前より骨盤が開いていて、お尻が大きくなった。」
という状態はこの動きによって作られることが多いです。
逆に脚の外側への動き、外側にひねる動きが強く、この状態で固まってしまうと
寛骨の下側が内側にいき、閉じた状態になってしまいます。
この左右の寛骨の内外への動きは真ん中の仙骨との関節や
前後の動きにも影響を与えます。
股関節は基礎のさらに下の部分の影響を受けるのでこのような前後、内外の
バランスが悪い状態が足関節から引き起こされることもたくさんあります。
結果、骨盤や背骨のバランス低下が足から来ていることもあるわけです。

●骨盤矯正の是非
骨盤バランスを改善するにあたって、まず骨の形自体が正常でないものや
老化によって変形してしまっている部位については
改善は難しいと思った方がいいでしょう。
骨は成人してしまうと病気でもない限り外見的な変化はあまり起こりません。
左右の寛骨もいくつかの骨が合わさってできていますが
この結合部が変化することも普通ありません。
また、骨盤に限りませんが骨の形や動かせる範囲は個人差があるので
必ずしも「骨盤が広いからバランスがおかしい」「動きが硬いからおかしい」
というわけではありません。
筋肉や靭帯、皮膚など周りの組織の影響を受けているもの
関節自体が硬くなっているものについては改善が期待できるといえます。
要は身体を動かす部品の不良によるものなので、動きを改善させてやれば
バランス改善につながるということです。

骨盤バランスを改善する手段としてストレッチなどのセルフケア
骨盤ベルト等の器具の使用、整体やカイロなどによる調整などがあります。
自宅で行うようなスタティックストレッチ(強い負荷をかけない軽めのもの)
ではスポーツや事務仕事などによって起こる一時的な変化に対しては
効果を期待できるので日々のケアとして必要ですが、先の説明にあるような
慢性的に硬くなっているものに対してバランスを変えるほどの効果は薄いです。
骨盤ベルトは多種多様あり原因も個人個人違うので効果には個人差が出ますし
悪化もありえます。特にモノが良くなかったり、巻き方を間違えるとかえって
バランスを悪くしてしまいます。
整体やカイロによる骨格の調整はより成果を挙げる為に
上記の2つの方法と比べ、効果的ですが骨盤に対してより強い刺激を与えることになります。
骨盤のバランス、脚のバランスなどが気になる方は

・痛みや動きが悪い(固い)、疲れやすいなど症状があるかどうか。
・以前と比べてバランスが悪くなった、急に太った、など変化があるかどうか。

これらも気になるようでしたら、骨盤矯正を定期的に行うことは
効果も意味もあると思います。
以前からその状態で見た目も変わらず、脚も腰も別に痛くもない固くもない。
というのであれば、無理に劇的な変化を与えて負担をかける必要もないので
適度な運動を心がけるだけでいいでしょう。



美容を突き詰めれば結局は健康に行き当たります。
あくまで健康ありきで、健康に害を及ぼすものについて
バランス改善をお任せ頂ければと思っております。

2014/04/09
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